子ダヌキ

だいぶ日にちが空いてしまった。

やっぱり習慣になるには少し時間がかかりそうだなあ。

部屋の日めくりカレンダーは毎日楽しみでめくり続けているけれど、こちらはそうはいかないみたい。


日めくりじゃないカレンダーをサボっている間に、連休を頂いて実家に帰った。お正月はお休みが無くて帰れなかったから、半年ぶり。


実家で飼っている犬のチャッピーにもようやく会えた。チャッピーは次の夏で14歳になる。もう会えるのはこれが最後かもしれないね、とお父さんに言われたけれど、不思議と悲しくはなかった。

半年前に会った時に既にそんな気がしていて、それでももう一度会えたからかな。


チャッピーと出会ったのはわたしが12歳の晩夏だった。国道沿いのホームセンターに行った時、駐車場に里親さがしの方が来ていた。犬を飼う予定など全く無かったけれど何となく近寄って覗いたケージの中に、はしゃぎ回る犬とそれに似た茶色い犬がいた。

はしゃぎ回っていた犬は、茶色い体で手と足の先だけ白くて靴下を履いているように見えた。とても愛嬌のある犬だった。


その犬との出会いから、犬を飼うという流れになるまでそう時間はかからなかったな。「くつした」と名付けて飼おう、という話になり、夕方にその子を迎えに行ったけれど、その時にはもう「くつした」には飼い主が見つかっていて、丁度ワゴン車の中に連れていかれるところだった。


残ったケージの中にまっ茶色の犬だけがまだ寝ていた。そうっと覗き込んでみたら、昼間に来た時は一度も目を合わせてくれなかったのに一瞬だけ、チラッとこちらを見た。何かを諦めているような顔。

その後もずっと見ていると様子を伺う様にチラッと見てくる。何か期待している様にも見えたな。抱き上げて、顔をよく見る。小さくて、まだ鼻が低くて、子ダヌキみたいだった。また寝てしまった子ダヌキを両親と一緒に見ていた。


子ダヌキが中ダヌキになってうちにやってきたのは、夏が終わり、秋が来てからだった。それからもう14年なのか。久しぶりに会ったチャッピーは白髪になっているはずも無く、相変わらずまっ茶色だったけれど、子ダヌキの時よりもよく寝るようになっていたし、小さな段差でも足を踏み外すようになってしまっていた。


すぐいなくなってしまうとは思っていないし、お別れが近いからこんな事を書いたわけじゃない。どうか長生きしてください、とも思わない。

ただ、あの日の子ダヌキのようなチャッピーを思い出したから。